11. 句読記号の使い方
英語には、次のようにおよそ14種類の句読記号
(punctuation marks) がある。このうち、最も重要なものはコンマで、この使い方がわからないと、まともな文章は書けないといってよい。次に重要なのはコロンとセミコロンで、このふたつの句読記号を不正確に使っているケースはかなりある。ピリオドはほとんど間違えようのない句読記号だが、略語を示す句読記号として使うケースでいくつかの誤用が見られる。
| . |
ピリオド (period) |
| , |
コンマ (comma) |
| : |
コロン (colon) |
| ; |
セミコロン (semi-colon) |
| ? |
疑問符 (question mark) |
| ! |
感嘆符 (exclamation mark) |
| ― |
ダッシュ (dash) |
| - |
ハイフン (hyphen) |
| ( ) |
カッコ (parentheses) |
| [ ] |
ブラケット (brackets) |
| " " |
引用符 (quotation marks) |
| ' |
アポストロフィー (apostrophe) |
| . . . |
省略記号 (points of ellipsis) |
| / |
スラッシュ (slash) |
ここでは、上記14の句読記号について、特にピリオド、コンマ、コロン、およびセミコロンの4つの句読記号を中心に、われわれが英文を書くときに間違えやすい点や注意すべき点にポイントを絞って説明する。
1. ピリオド
ピリオド(またはフルストップ)は文の終わり、あるいは語句の略語化
(abbreviation) を示す。ピリオドに関するエラーは大きく分けてふたつある。ひとつはタイピングの際のスペーシング
(spacing) の問題、もうひとつは略語の使用にかかわる問題である。日本語では文中・文末を問わず、句読点の後にスペースを加えないが、英文では原則としてすべての句読点の後にかならず1文字分のスペースを挿入する。一般に、タイプ原稿では文末ピリオドの後に2文字分のスペースを入れて次のセンテンスを続けるが、1文字分のスペースでも特に問題はない。書籍や新聞などのような印刷物では1文字分のスペースが普通である。略語の使用にかかわる問題については特に次の3点を覚えておきたい。
1) 略語を表すピリオドで文が終わる場合は、文末ピリオドを二重に使用しない。
○ I will be there at 3:30 p.m.
× I will be there at 3:30 p.m..
2) 数語からなる語句を略語化する場合、それぞれのピリオド間にはスペースを加えない。ただし、最後のピリオドと次の語の間には1文字分のスペースを入れる。
a) e.g.
b) U.S.A.
c) at 10 p.m. tomorrow
3) 名前の一部だけをイニシャルで表す場合にはピリオドの後にそれぞれ1文字分のスペースを加える。ただし、すべてイニシャルで表す場合は原則として上記
2) に従う。
a) Mr. T. Yamada
b) J. F. Kennedy
c) J.F.K.(または JFK)
なお、略語でも、それがひとつの語として一般によく知られている場合には略語ピリオドを加えないことがある(たとえば
YMCA, USA, PM, AM, mph など)。特に通常1語として発音される団体・機関名の略語(たとえば
UNESCO, NATO, OPEC など)には省略ピリオドは加えない。ただし、略語はその形および略語ピリオドの有無がかならずしも統一されていない。したがって、辞書にあるとおりに使っておくのが無難である。
フレーズの各語頭だけからなる略語を大文字で表記する場合には略語ピリオドなしの場合が多く、一方、小文字で表記する場合にはほとんどんかならず略語ピリオドを加える。たとえば
free on board を略記する場合は FOBないしf.o.b. のいずれかが普通。これはFOBが略語であることが明らかなのに対し、fobでは別の単語のように見えてしまうからである。なお、Mr
T Yamada のように略語ピリオドをすべて排除する特殊な句読点法もある。これは特に英国にその用例が多く見られる。
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2. コンマ
コンマは句読記号のなかでも最も重要なもので、単なる記号というよりもセンテンスの重要な構成要素のひとつと考えるべきものである。英文のコンマの機能は日本語の読点の用法とほぼ同じで、主として「意味の区切りや文のつながりを明瞭にする」ために用いる。コンマの用法はケースごとにほぼ公式化することができるが、こうした公式を知らなくてもコンマをほぼ正確に使い分けることは可能である。たとえば
I went to the park but he never showed up. というセンテンスを例にとると、このセンテンスを読むときには、parkとbut
の間に短いポーズを入れて読むのが最も自然であり、この短いポーズが「意味の区切れ」になる。文章として書く場合にはこの意味の区切れをコンマで表す。
このように、あるセンテンスのある箇所にコンマを加えるかどうかを判断するには、そのセンテンスを声を出して読んでみればよい。ただし、コンマがなくても文のつながりがよくわかり、かつ誤読の可能性がなければコンマを省略することができる。また、コンマを加えることによってかえって文のつながりがわかりにくくなる場合にはコンマを入れない(文のつながりをわかりにくくするようなコンマの使い方はコンマの誤用である可能性が高い)。さらに、どんな場合でも、意味上不可分のユニットをコンマで分けることはできない。以下、いくつかのケースに分けてコンマの使い方を見ていく。いずれの場合も「声を出して読む場合に自然にポーズが入るところにコンマが入る」という原則が当てはまる。
1) 文中でいくつかの語句を列記する場合
a) He is smart, talented, and aggressive.
b) The prints came in red, blue, black, and
white.
このふたつの例文では、いずれも前記の原則に従ってコンマが加えられている。これを
He is smart talented and aggressive. や The prints came in red blue black
and white. のように続けたのではなんのことだかよくわからなくなってしまう。このように、文中でいくつかの語句を列記する場合は各ユニットをひとつずつコンマで区切る。なお、最後のandの前のコンマ(final
serial comma と呼ぶ)は省くことがある。ただし、これを読むときにはandの前にも自然にポーズが入る。したがって、書く場合にもこのポーズに相当するコンマを入れておくのがよい。例文
b) は「赤、青、黒、白」の4色という意味だが、仮に「赤、青、黒白」の3つということであれば、The
prints came in red, blue, and black and white. となる。もちろん最後の “(and)
black and white” は一気に読む。
2) 主語の異なる独立文を接続詞で結ぶ場合
c) I went to the park, but he never showed
up.
この例文ではparkとbutの間に短いポーズが入る。したがって、ここにコンマを加える。一般に、主語の異なる独立文を接続詞で結ぶ場合には、接続詞の前にコンマ(ポーズ)を入れて意味の区切れを明確にする。
3) 同じ主語を持つ複数の文を結ぶ場合
d) I went to the park and played baseball.
e) I went to the park, played baseball, and
returned home before noon.
例文d)では、「公園に行った」ということと「野球をした」ということが強いつながりを持ったひとつのことと意識されていれば、parkとandの間にポーズを入れずに一気に読むのが自然で、この場合にはコンマは必要ないということになる。もちろん、分けたければ
parkとandの間にコンマを加えてもかまわない。ただし、この場合には書き手は「公園に行った」ということと「野球をした」というふたつのことを、一応別々のことがらと考えていることになる。つまり、前者の場合は
I went to the park to play baseball. という感じであるのに対し、後者では
I went to the park. (And) I played baseball there. というニュアンスになる。
例文 e) では3つの出来事をひとつずつ順番に述べており、上例のように各ユニット間にコンマを入れるのが最も自然である。なお、この例では
played baseball と and returned home before noon との間のコンマは省略できない。played
baseball と (and) returned home before noon はまったく別の次元の話であって、これをandという等位接続詞で結ぶのは不適当だからである。これは、たとえばplayed
baseball and tennis, and . . . というつながり方と比較すると明確である。
4) 文中に付随的・説明的に付け加えられた挿入語句がある場合
f) The book, although I enjoyed reading
it, was of no use for the exam.
g) She gave me a call, which she never
did before, to let me know that she loves me.
h) Mr. Doe, president of ABC Corp.,
came to Japan last week.
例文 f) を The book although I enjoyed reading it was of no use for
the exam. と続けて書くと文のつながりがよくわからなくなる。これを口頭でわかりやすく伝えるためには上例でコンマがあるところにポーズを入れるのが自然である。しかもそれ以外のところにコンマ(ポーズ)が入ることはありえない。なお、コンマで囲まれた挿入文はその前の
The book を付随的に説明したもので、これを削除しても主文の大意に影響を与えない。
例文 g) は「彼女はこれまで電話などしてきたことはなかったんだが、その彼女が電話をくれて『愛してる』なんていうんだ」という意味。この場合も、コンマで囲まれた挿入文はその前の
She gave me a call を付随的に説明している。なお、to let me know that she
loves me. のところはthatの前で心もちポーズを入れて読むことがあるが、このポーズは本来の「意味の区切れ」を表すものではなく、したがってthatの前にはコンマを加えない。
同じく、例文 h)の president of ABC Corp. という挿入句も、先行詞であるMr.
Doeを説明する付随的な挿入句である。このように、先行する名詞、または名詞句や節に対して付随的に加えられた挿入語句はコンマで囲んで主文要素と区別する。ちなみに、この3つの例文に見られるような、先行詞の意味を制限/限定しない関係詞節の使い方を関係詞の「非制限的
(non-restrictive)」用法と呼ぶ。これに対して「制限的/限定的」に使われた関係詞節ではコンマで区切らない。たとえば次のような例である。
i) The book which I am reading is a history
book.
これは「いま読んでいるこの本は歴史の本だ」という意味で、which
I am reading は付随的に付け加えられているのでなく、The book の意味を構成する必要不可欠な要素であり(つまり、「どの本」かを限定する)必要不可欠な要素である。なお、これを読むときは
The book which I am reading までを一気に読み、その後の主文動詞 “is” の前に短いポーズが入る。つまり、原則に従えば
The book which I am reading, is a history book. のように表記すべきところだが、通例、このようなコンマは省略する(ただし、主文動詞に先立つ名詞節などの説明文がかなり長くなる場合には、その末尾にコンマを加えて文の区切れを明示することがある。たとえば
The book which I was reading when he called me to let me know that he was
coming to see me, is a history book. のような場合がその例)。
5) 文頭や文中に連結詞が置かれた場合
j) I find the product very interesting
and, therefore, I would like to buy it.
k) He, however, did not come on time.
l) However, he did not come on time.
上記の例文に見られるように、therefore, however, also, furthermore,
hence, otherwise, nevertheless, then, thus, namely, that is, for example
などの連結詞(副詞)が文中に挿入された場合、あるいは文頭に置かれた場合には、これをコンマで区切るのが普通である。ただし、コンマがなくても文のつながりが明瞭である場合や、なんらかの理由で文にあまりメリハリをつけたくない場合には意図的にコンマを省略することがある(関連解説は「セミコロン」の項目1参照)。
6) 「導入句+主文」という文型の場合
m) In the beginning, we discussed the feasibility
of the project.
n) For your information, I have enclosed a
copy of our catalog.
例文 m) では beginningとweの間にポーズを入れて読むのが自然である。同じように、例文
n) では導入句と主文の間にポーズが入る。このように、主文に先立つ導入句がある場合には、一般に導入句の後にコンマを入れて主文との区切りをわかりやすくする。ただし、導入句が短い場合やコンマがなくても文のつながりが明瞭な場合にはコンマを省略することがある。
7) 「従属節+主節」という文型の場合
o) When I went to the United States in 1986
with my wife, I was 32 years old.
p) If it rains, I will stay home.
q) Although I enjoyed reading it, the book
was of no use for the exam.
「従属節+主節」という文型では従属節と主節の間にコンマを加えて文の区切れを明瞭にする。特に従属節が長い場合には主節の前にかならずコンマを加える。なお、一般に「主節+従属節」の文型ではふたつの節の間にコンマを必要としない。たとえば
I was 32 years old when I went to the United States in 1986 with my wife.
とか I will stay home if it rains. などのような場合である。前者のケースではwhen
以下が主文を完結させるための重要な主文要素になっている。つまり、I was 32
years old だけでは(文法的には可能でも)会話文として成立しない。この例文を読むときにもoldとwhen
の間には明瞭なポーズを置かず、oldをやや長音で発声してwhen につなげる。同じように、後者の例文でもif節は付随的に付け加えられたものではなく、これがなければ主文の意味が完結しない重要な主文要素である。したがって、この場合も主節と従属節の間にはコンマを加えず、読む場合にも一気に読む。このように、意味上区切ることができないふたつの節はコンマで強制的に区切ることはできない。
ただし、「主節+従属節」の文型でも、主文がそれ自体で完結し、従属節はあくまでも付随的に付け加えられているにすぎないケース(したがって省略しても主文に大きな影響を与えない)ではコンマを加えることがある。たとえば
The book was of no use for the exam, although I enjoyed reading it. とか
I will go there tomorrow, if (it is) possible. などのような例である。なお、この場合のコンマは後述の「ダッシュ(ダーシ)」に置き換えることができる。
8) その他:コンマは上記のほかに次のような場合に使う。
r) 相手に対する呼びかけ語や yes/no の返事の後に
Mr. and Mrs. Yamada, come with
me.
Excuse me, is this seat taken?
Yes, I think so.
s) 地の文と直接引用文の区切りに
She said, “I love you.”
t) レターの冒頭敬辞と結尾敬辞の句読記号として
Dear Sir,
Dear John,
Very truly yours,
Sincerely,
u) 索引などで姓名・題目などを逆表記する場合に
Yamada, Taro
Punctuation, Introduction to
v) 数字の thousand 単位の区切り記号として
12,000
1,000,000
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3. コロン
通常、英文中のコロンは「つまり」という意味で使う。したがって、以下の用例に示すとおり、コロンの後には引用文や、前文あるいはすぐ前の語句の内容を説明・補足する語句が続く。なお、コロンの後にはかならず1文字分のスペースを入れる(タイプ原稿では2文字分のスペースにすることがある)。
a) He said: “We should all rush to the front for
a full-fledged war against America, and I
denote my worthless life for the sake of our victory.”
b) The items in question are as follows: A, B, and
C.
c) We need the following three items: A, B, and
C.
d) We need three things: A, B, and C.
e) Subject: Request for Quotation
上記の例文ではいずれもコロンを「つまり」とか「次のとおり」と読み換えることができる。したがって、コロンはas
follows とか the following のような語句をともなって使うことが多くなる。例文
a) および d) のようにコロンが単独で使われている場合も、それぞれ as follows
が省略されていると考えればわかりやすい。ただし、The items in question are
A, B, and C. のように、全体でひとつの文法的に完結したセンテンスを構成しているものにはコロンを加えることはできない。なお、コロンは次のように単なる区切り記号として使う場合がある。この場合、コロンの前後にはスペースを加えない。
f) 時刻表示
3:30 p.m.(英国では 3.30 p.m.)
g) 比率
a ratio of 2:5(two to five と読む)
h) ビジネスレターの末尾に加える ID イニシャル
YS:hy(または YS/hy)
i) フォーマルなレターの冒頭敬辞(米国式)
Dear Sir:
Dear Mr. Doe:
Ladies and Gentlemen:
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4. セミコロン
セミコロンはその形からも想像できるように、コロン、コンマおよびピリオドを合わせて2で割ったような複雑な性格を持つ句読記号である。文学的な陰影を出すためにはなかなか便利な小道具だが、実用文ではコンマの代用として便宜的に使用するほかは使わないほうが無難である。セミコロンの基本的な機能は次のとおりだが、この例でもわかるように、ほかの句読記号で十分間に合うのであって、苦労してその用法をマスターするほどの価値があるとも思えない。なお、ほかの句読点と同じように、セミコロンの後にも1文字分のスペースを入れる。
1) 意味上の強いつながりを持ったふたつの独立文を結ぶ
a) I went to the place alone; the others came
with their friends.
b) I went to the place on time; however, he was
not there.
上記の例文はいずれも I went to the place alone. The others came with
their friends. および I went to the place on time. However, he was not
there. のように、ふたつの文に分けることができる。同じように、接続詞 but
を使って I went to the place alone, but the others came with their friends.
および I went to the place on time, but he was not there. と書き換えることもできる。
なお、上記の例文 b) のようなケースでは、I went to the place
on time, however, he was not there. とする人がかなりいるが、これは本来セミコロンを使うべきところにコンマを使った典型的な誤用例である。原則としてthereforeやhoweverなどの連結詞を単独で使ってふたつの独立文をつなぐことはできない(「コンマ」の項目5参照)。ふたつの独立文を連結詞をはさんでひとつにつなげたい場合には、次例のようにandなどの接続詞を挿入するか、セミコロンを使う(実際の用例の中にはthereforeや
however を接続詞的に使っているものがあるが、これはあくまでも略式)。
× I find the product very interesting, therefore, I would like
to buy it.
○ I find the product very interesting and, therefore, I would
like to buy it.
○ I find the product very interesting; therefore, I would
like to buy it.
2) 語句を列記するとき、コンマで区切ると誤解を生じる恐れがある場合にコンマの代わりにセミコロンを使う
a) I read three books about Japan: Japan Today,
which I bought yesterday; Modern Japan, which
you gave me last week; and The Future of Japan.
b) Present at the meeting were Yoshio Ito,
School Director; Tom Miller, Head Teacher; and
Yoko Kimura, Chief Secretary.
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5. その他の句読記号
ピリオド、コンマ、コロン、セミコロン以外の句読記号のうち、疑問符
(?) と感嘆符 (!) についてはまず問題はないが、その他の句読記号については案外いい加減に使っていることがある。以下、簡単にポイントを整理しておく。
1) ダッシュ
ダッシュ(または「ダーシ」)は、コンマ、セミコロン、コロンの代用としてまったく自由に使うことができる。したがって、その用法を明確に規定することはむずかしいが、主として文中で「思考の一時的中断を示したり別の新たな考え(語句)を注釈的に挿入する場合、あるいはそのような挿入語句を特に強調したい場合に使う」と考えておくとよい。コンマが無声のポーズに相当するとすれば、おおざっぱに言って、文中のダッシュは「あー」とか「えー」などの間投詞に相当する。たとえば次のような例である。
a) If you don’t finish the report by tomorrow -- I mean
by 8:00 a.m. tomorrow?then you are fired!
b) She told me?for the first time ever -- that she loved
me!
c) The book was of no use for the exam -- although
I enjoyed reading it.
上例 b) は She told me, for the first time ever, that she loved
me! のように、コンマを使った挿入句とすることもできる。これはいわば英文の「普通」の形で、その分だけ挿入句の強調度合いがダッシュを使った場合と比較して弱くなる(She
told me の後に無声の短いポーズを入れて for the first time ever と続けた場合と、She
told me の後に uh . . . という「思考の一時的中断」を示す意味不明の音を入れた場合を比較すると、その感じがわかる)。例文
c) は The book was of no use for the exam, although I enjoyed reading it.(「コンマ」の項目7参照)とするのが普通だが、コンマの代わりにダッシュを使うとalthough以下にほぼ独立文と同じような強さを与える効果がある。もっとも、実用文でこういう微妙なニュアンスを出したり、修辞的な効果を狙う必要があるとも思えない。そもそも実用文において「思考を一時的に中断」したり、ある文中に「別の新たな考え(語句)を挿入する」などということが適当だとも思えない。
なお、ダーシには長いダーシ (―) と短いダーシ (-) があり、前者を
”M (= em) dash” と呼び、後者を N (= en) dash と呼ぶ。通常、英文で使われるのは後者のほうである。ただし、タイプライターや一般的なパソコンのキーボードではダーシをダブルハイフン
(--) で代用する。この場合、読みやすくするために前後に1文字分ずつスペースを加えることが多い(通常のダーシでは前後にスペースを加えないのが普通)。
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2) ハイフン
ハイフンは主として a) 行末での語分割、b) 複合語、および c) 数字や日付とともに使ってその範囲を示す場合などに使用する。
a) Thank you for your fax of April 1 con-
cerning the ABC Project.
b) a three-day conference; a good-looking girl; a full-scale
war; surface-to-air missiles
c) for 30-40 years; during the 1980-89 period
なお、行末での「語分割」は音節(シラブル)の区切りで行う。たとえば
division という単語は di・vi・sionという3つの音節から構成されており、したがってdi-vision
あるいは divi-sion のように分割することになる。詳しくは pp. 597-598の解説参照。
3) カッコ
カッコ(または「パーレン」)は主として a) 先行する語句や文を補足説明したり、b)
言い換えたりするために使う。文中で略語またはその原語を示すために使うカッコ表記もこれに相当する。そのほかに、c)
文中で列記された各項目に番号を加える場合、およびd) 文中あるいは文末で参照文献やページ数などを示す場合にも使う。
a) “Do you love me?” he asked. (Note that a comma
is not used after the question mark.)
b) The period (or full stop) is the most frequently
used punctuation mark.
c) The three items we need are (1) . . . , (2) .
. . , and (3) . . . .
d) The company has grown steadily over the past
ten years as indicated in the bar chart mentioned before. (see Figure
5, p. 15)
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4) ブラケット
本書ではブラケットを「省略可能な語句、または文脈に応じて選択する語句」を示すために使用しているが、その用法について特に注記がない場合は、ブラケットは主として引用文中に
a) 筆者の注釈を加えたり、あるいはb) マイナーな加筆をする場合に使用する。
a) He said, “It [the accident] was due to carelessness
. . .”
b) The report indicates that we are “get[ting]
more than $500,000 a month.”
上例 a) は引用文中の Itの説明として [the accident] という注記を加えている。b)
は “get more than $500,000 a month” というのが原文で、これを自分のセンテンスに合わせるためにget[ting]というマイナーな加筆をしたものである。なお、すでにカッコ(パーレン)でくくられた語句の中で、もう一度カッコを使う場合にはブラケットを使用する。つまり、(.
. . [. . .] . . .) のようになる。
5) 引用符
引用符は、a) 発言・文章などを直接引用する場合、b) ある語句を特に強調したり特殊な意味をこめて使う場合、および
c) 文中で、新聞記事・雑誌記事・論文・楽曲などのタイトルを示す場合に使用する。
a) He said: “We should all rush to the front . .
. for the sake of our victory.”
b) At the office he may be a “gentleman,” but
at home he beats his wife.
c) Have you read the article, “ABCs of Business
Writing,” in the June issue of The English Journal?
なお、一般に米国では double quotation marks (“. . .”) を使い、英国では
single quotation marks (‘. . .’) を使う。両者を併用する場合は “double
‘quotation’ marks” あるいは ‘double “quotation” marks’ となる。また、米国ではピリオドとコンマは常に引用符の中に入れる(英国では外に出す)。ただし、コロンとセミコロンは常に引用符の外に出す。書名や雑誌名、あるいは文中に外国語を引用する場合、一般にタイプ原稿ではこれをアンダーラインで示し、印刷物ではイタリック体を使う。
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6) アポストロフィー
アポストロフィーは、a) -’s の形で名詞・代名詞の所有格を示すほかに、b)
短縮形 (contractions) や、c) 文字・数字などの複数形を示すために使う。
a-1) This is Mr. Yamada’s house.
a-2) He won the gold medal in the men’s 100-meter dash.
b-1) We’ve (=We have) received the letter.
b-2) I’m (= I am) fine.
c-1) I have many A’s in my school records.
c-2) Don’t use too many “We’s” in your letter.
略語 (abbreviations) の所有格は VIPs あるいは V.I.P.’s
のように表す。つまり、略語ピリオドがない場合は -s を加え、ピリオドがある場合は
-’s となる。年代を示す場合は一般に1980sのように表すが、1980’s とすることもある。ただし1980
を 80 と略記する場合は ’80s とする。なお、-s, -sh, -z の音で終わる単数名詞の所有格は
James’ house でも James’s house でもかまわない。ただし、-s, -sh, -z の音で終わる複数名詞の所有格は末尾にアポストロフィーだけを加える。
7) 省略記号(エリプシス)
エリプシスは、3つの連続したドット (three spaced dots) で表し、a)
語句の「省略」を示す。また、これは suspension points とも呼ばれ、b) 思考(つまりセンテンス)の中断や、c)
発言の中の長いポーズを示すためにも使われる。それぞれの例は以下のとおり。
a) He said: “We should all rush to the front . . . for
the sake of our victory.”
b) “Well, I don’t know if . . .” he said. “If what?”
she asked.
c) “I . . . I love you,” he replied.
エリプシスの各ドット間およびその前後のスペーシングについてはいくつかのバリエーションがみられるものの、一般には上記の例に見られるとおりそれぞれ1文字分(半角)のスペースを加えるのが普通である。ただし、例b)
のようにエリプシスのすぐ後(またすぐ前)に引用符がある場合は、通例、エリプシスと引用符の間にはスペースを加えない。なお、タイプ原稿では各ドットはそれぞれ英字1文字分に相当するが、一般の書籍や新聞・雑誌などのようにプロポーショナル印字される印刷物では各行の長さが一定の範囲で自動調整されるために、エリプシスのドット間隔がかならずしも一定とはかぎらない。また、エリプシスでセンテンスを完結する場合は、一般にthree
spaced dots ( . . . ) に続けて文末ピリオドを加える。たとえば He said: “We
should all rush to the front . . . .” のようにする。ただし、これも出版社や編集者によって異なり、エリプシスでセンテンスが完結する場合も3つのドットだけにしている例もある。
8) スラッシュ
スラッシュは便宜的な区切りを示したい場合の「区切り符号」としてかなり自由に使うことができる。代表的な使い方としては、a)
per や to の代わりに単位の区切れを簡略に示す、b) 略語をわかりやすく表記するために各語の区切れを示す、c)
and, or または and/or の代用として使う、などがある。
a) 500,000 yen/month; 50 km/hour; a 50/50 ratio
b) B/D (= Bank Draft); B/L (= Bill of Lading)
c) Do not judge anyone by the color of his/her skin.
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